世界に広がる「ババ抜き」と「じじ抜き」の文化誌——なぜ私たちはジョーカーを恐れるのか

カードゲームの定番である「ババ抜き」。実はこのゲーム、日本国内だけでも「じじ抜き」という対極のローカルルールが存在し、さらに海を渡ると驚くほど多彩な名称やバリエーションで親しまれています。

1. 日本における「ババ抜き」と「じじ抜き」の二面性

 ババ抜き(Joker抜き):ジョーカーを「ババ(鬼・厄災)」に見立て、それを押し付け合う現代のスタンダード。

 じじ抜き(Jiji抜き):ジョーカーを使わず、あらかじめ特定のカード(例えばスペードのキングなど、文字通り「お爺さん」に見立てたカード)を1枚抜いておく、あるいはランダムに1枚引いて残ったペアのないカードを「おじいさん」とする伝統的なルール。

 構造的意味:どちらも「不要な1枚を押し付けられる恐怖」と「ペアを作っていく爽快感」のシンプルさが、世代を超えて愛される理由です。

2. 海外における呼び名とバリエーション

英語圏をはじめ、海外でもこの手のゲームは広く遊ばれていますが、その呼び名は国や文化によってユニークな変化を遂げています。

 英語圏 (Old Maid):「独身のおばさん」を意味する言葉。最後にペアを作れずにカード(多くはクイーン)を余らせてしまった人が「おばさん」になってしまうという、ややシュールで古典的な皮肉が込められています。

 ドイツ語圏 (Schwarzer Peter):「黒いピーター」と呼ばれるルール。特定のカード(あるいは煙突掃除夫を模したカード)を持った人が負けとなります。

 フランス語圏 (Couillon / Pousse-l’l’âtre 等):地方ごとに異なる名称や、フランス特有のトランプの絵柄(フレンチ・スート)に合わせたローカルルールが存在します。

このように、国が変われば「誰を」「何を」押し付けられるのか(おばさん、おじいさん、黒いピーター、ジョーカー)が変わり、その社会風俗やユーモアのセンスが反映されている点が非常に興味深いトピックです。

https://mita.nu/oldmaid

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