昔から、血眼になって難問を解くような難しいパズルゲームよりも、どこかほのぼのとしていて、自分のペースでコツコツと駒や陣地を広げていくような「難易度の低い(あるいは直感的な)パズルゲーム」がずっと好きでした。
頭を悩ませるというよりは、画面の中でキャラクターや要素がぷるぷる増えていく様子を眺めているだけで癒やされる――そんなゲームをいつか自分でも作ってみたいという思いが、心のどこかにありました。
実験室のシャーレから始まった小さな冒険
最初は本当にシンプルな思いつきからでした。
「無機質なガラスのシャーレの中で、小さな赤い粘菌がポツンと生きている。そこから外の世界へ少しずつ進んでいけたら面白いんじゃないか?」
そこから発想が膨らみ、ただの実験室のシャーレにとどまらず、机の上、床、そして薄暗い下水道のパイプや溜枡(ためます)へと、ステージがどんどん広がっていくストーリーを描くようになりました。
プレイヤーが感情移入するのは、画面下部にちょこんといる赤い粘菌。 最初はただひたすらに周囲の敵(他の菌たち)を駆逐しながら生き残るサバイバルだったのが、ステージが進むにつれて「特定のゴール(チェッカーマス)を目指して迷路のような配管を抜け出す」という新しいルールや、個性豊かなライバルたち(青、黄色、緑の菌)との出会いが加わっていきました。
リアルさよりも「シンボル」としてのゲーム世界
開発を進める中でこだわったのは、リアルさを追求しすぎないことです。 下水道やパイプ、グリストラップといったモチーフも、現実をそのまま再現するのではなく、あくまでグリッド上の「シンボル」として表現しています。おかげで、プレイヤーも「あ、今回はこういうシチュエーションの面なんだな」と直感的に世界観へ没入できるようになりました。
また、面ごとの雰囲気を伝えるために、オープニングにはちょっとした短編アニメーションを挟む工夫も取り入れています。言語(文字)をあえて排除し、映像の動きや色彩だけで「何が起きているのか」「どこに向かっているのか」を伝えるスタイルは、作っていてとてもワクワクするポイントでした。
終わりのない(かもしれない)50面32面への道
気づけば、実験室から始まった旅は下水道エリアを抜け、さまざまなギミックや勢力が入り交じる大混戦のステージへと進化していきました。当初は32面、あるいは50面ほどのボリュームを想定してコツコツと形にしています。
「難しいパズルはちょっと苦手だけど、自分の陣地がじわじわ広がっていく心地よさを味わいたい」 そんな個人的な原点からスタートした『ぽよ粘菌』。AIたちが入り交じるカオスな盤面を眺めながら、今日もブラッシュアップを続けています。
もし同じように、のんびり遊べる陣取りやパズルが好き方がいたら、ぜひこっそり覗いていってください。


